インプラントと歯周病の関係について
インプラント治療は将来性も高く、
咀嚼や感触も天然の歯に引けを取らない物を
もたらしてくれる、素晴らしい治療法です。
しかし、どんなに素晴らしい治療法であっても、
治療を行う土台に問題があれば、
十分なパワーを発揮できない場合も存在しています。
もし、インプラント治療を受ける人が
歯周病を持っていた場合、
インプラント治療を受けることは出来るのか
という点についてお話します。
インプラント治療が困難な場合
インプラント治療がしづらい場合は以下の3点があります。
①歯周病によってインプラント治療がしづらい場合
インプラントというのは、
あごの骨にボルトを打って、
そこを土台に人工的な歯を
取り付けることによって、
まるで自分の歯であるかのように、
ものを噛むようにできます。
ですが、骨に埋め込むという
形をとっているので
必要な骨の量が確保できない場合、
治療を断られる場合もあります。
骨が足りなくなる理由には、歯周病があります。
歯周病とは
歯周病は、お口の中に存在する
歯周病原細菌の病原性が
プラークによって強まり、
歯ブラシの時に出血したり
歯茎がはれたりする、
歯茎の炎症を指します。
歯周病になると、
歯茎が下がって葉の根元が見えたり、
歯茎に膿がたまったりします。
ひどい場合は、
歯が抜けてしまうこともあります。
歯周病は、日本人が歯を失う原因の第一位です。
歯肉から始まって、
歯槽骨など深いところまで影響が広がっていくと、
治療をしないと歯を失う可能性があります。
歯を失うほど進行してしまうと、
歯の土台となる歯槽骨まで炎症が広がり、
やがて骨の吸収が起こります。
ですから、
ひどい虫歯などで歯を失った場合と違い、
歯周病で歯を失った場合は
土台まで弱くなってしまうことがあります。
骨が薄くなってしまうと、
ボルトを埋めようとしても
貫通してしまうということがあり、
インプラントを定着させることが
できなくなってしまいます。
歯周病は、基本的にはプラークが
原因になることが多いので、
予防をするためにはしっかりとした
日々の歯磨きということになります。
歯を失ってしまうだけでなく、
その先の治療法にまで影響がある
ということを考えると、
歯周病の予防には充分に気をつけなければなりません。
②遺伝的にインプラント治療には向かない場合
インプラントには充分な骨がないと、
人工歯を取り付ける土台を作ることができません。
ですから歯周病など、
歯が溶けてしまったりすることには
充分注意が必要です。
ただし、健康に気をつかっていたり、
毎日の歯磨きをしっかりとしていたのに
インプラント治療が受けられないという
場合があります。
それは、言ってみれば遺伝が原因です。
事故などで前歯を失ってしまったら
歯周病の影響などはありませんが、
そもそも前歯のあごの骨というのは、
生まれつき骨が薄くなりやすい
場所でもあります。
体質的に薄い人はもちろん、
健康な人であっても、
土台を埋めるための
厚みがぎりぎりであることも多いために、
治療を断られることもしばしばあります。
もし無理に治療を続行してしまうと、
未熟な歯科医だった場合は
骨の破損などからひどい状態に
なってしまうこともあります。
また、手術が成功した場合でも、
最初だけは良くても、
治療からしばらく経ってしまうと
骨の吸収がおこり、
最初は隠れていた
土台の根本が見えてしまって、
審美的に非常に悪くなってしまうということもあります。
ですから前歯のインプラント治療は、
奥歯に比べて難易度も高く、
さらに予後のメンテナンスにも
非常に気をつかわなければなりませんから
安易にやってはならず、
充分気をつけて行いたい治療です。
③抜けた歯を放置したままだと、インプラント治療が受けにくくなる
インプラント治療には、
しっかりとした土台がなければなりませんが、
いろいろな原因によって
土台を作れないということが起こります。
歯周病や、生まれつき骨が薄い場合などは
治療が難しくなりますが、
他にも理由はあります。
それは、刺激がない場合です。
あごの骨に限ったことではありませんが、
毎日の刺激を受けることによって、
強くかたく頑丈さを保っていくことができます。
逆に、刺激がない場合は
どんどんと弱っていきます。
寝たきりになってしまった高齢者が、
ちょっとしたことで骨折をしてしまうなど、
刺激を与え続けることが骨の強度の維持に重要な事です。
同じことがあごの骨にもいえます。
歯が抜けてしまったのを放置していると、
あごの骨への刺激がなくなってしまうので、
骨が痩せていきます。
そして、インプラントの土台を受け止められる
厚みや強度がなくなってしまうのです。
入れ歯が合わない場合にも
似たようなことがいえます。
刺激を受けなくなってしまうので、
あごの骨が吸収されてしまうのです。
ですから、
インプラント治療をするかもしれない、
と思っている人は、早めの決断が必要でしょう。
また、治療をするかどうかわからない場合は、
放置するのではなく、部分入れ歯など、
状態を維持できるようにしたまま
検討したほうがいいでしょう。
歯周病と治療後のインプラントの寿命について
歯周病に罹患している患者さんは、
インプラント治療を受けたとしても
治療後のインプラントが
残存しにくい(寿命が短い)ことが
証明されています。
歯周病に罹患しているケースでは、
歯周病の治療を行ってから
インプラント治療を行うことが
推奨されています。
現在の日本において、
40歳以上の成人の大半が
歯槽膿漏(歯周病)にかかっているという
データが発表されています。
歯を失った部分のみに
集中してインプラントを埋入しても、
ポジティブな結果を手に入れることは困難です。
残っている歯の歯周病治療と
インプラント治療には密接な関係性があるのです。
もし、歯を喪失した原因が
歯周病であった場合、
残っているほかの歯も
歯周病になっている可能性があるので、
念入りに検査をしましょう。
先述のように、
歯周病を患った経験のある人には、
残っている歯も
歯周病にかかっている可能性が高く、
徹底して資料を行うことが重要になります。
もし、残りの歯周病を治療せずに
インプラント治療を行ってしまうと、
様々な問題が生じる可能性は極めて高くなってしまいます。
現在進行形で残っている歯が
歯周病にかかっている場合の問題点としては、
口の中にばい菌(歯周病菌)が
数多く存在するという点です。
歯槽膿漏(歯周病)は、
食後の食べ残しのプラーク(歯垢)が
原因となって歯を支えている骨が
細菌により溶けていく病気のことを指しています。
そのままの状態を放置していると、
やがて歯がぐらぐらと動き出し、
最終的にはポロリと自然に抜け落ちてしまうのです。
歯周病という病気は、
一度治療したとしても、
正しいブラッシングを継続しなければ、
再発してしまいます。
加えて、インプラントは細菌に非常に弱いものです。
話は戻り、
歯周病を患っている人が
そのままインプラント治療を行うと、
歯周病菌にさらされることによって
骨と歯が結合しにくいことが証明されています。
少ない可能性の中で、
歯と骨が結合したとしても、
その後離れてしまう可能性が
常に付きまとうことになります。
細菌に弱いインプラントが、
細菌が多い口の中で
長持ちできるでしょうか?
応えはもちろんNOです。
歯周病の患者さんが
インプラント治療を希望している場合、
まず口全体の歯周病が
どのような状態になっているのか
確認されることになります。
詳しい審査と診断が必須になるので、
緻密な治療計画が行われていきます。
たがが歯周病と思って、
侮ってはいけません。
歯周病が重度になっていくと、
歯が動いてかみ合わせの位置がずれたり、
今後の人生において食事を楽しめない
なんてことも十分に考えられます。
このようなケースには、
インプラント治療前に
ずれてしまった咬み合わせの関係を、
どう修復するかについて
決定していかなければなりません。
インプラント治療が
どんなに素晴らしい
治療方法であるからといっても、
過信することは危険です。
そして自分本来の歯に
勝るものは存在しません。
残せる歯は残し、
健康的な状態をキープしておくことが大前提です。
何よりも健康を維持しておくことが重要であり、
インプラント治療は
ちょっとしたプラスアルファである
という認識で丁度ですし、
そもそも治療を受ける必要がないというのが一番なのです。
インプラント周囲炎について
インプラント治療後の大きなトラブルの一つに、
インプラント周囲炎があります。
インプラント周囲炎
インプラントを支える顎の骨に
歯周病原細菌が増殖し、
歯肉とインプラントの境目から
内部に侵入することにより、
出血や化膿といった炎症が発生し、
顎の骨がやせていく病気です。
インプラント歯周炎には
上記のように歯周病菌が大きく関与しています。
歯周病にかかっている場合、
口内では歯周病菌が増殖しています。
仮に歯周病の治療を先に行わず、
そのままインプラント治療を実施すると、
歯周病菌がインプラントした歯周辺で繁殖し、
インプラント周囲炎にかかる可能性が高まります。
インプラント周囲炎になってしまうと、
一度埋め込んだインプラントを
取り除かなければならないこともあるので、
歯周病の管理は
インプラントの患者様にとっては
非常に大切です。
インプラント周囲炎は、
罹患していても非常に気がつきにくい炎症です。
人工物であるインプラントには
神経が通っていません。
そのため初期の段階では
多くの場合自覚症状がなく、
なかなか気がつかないのです。
そうして、気がつかないうちに
インプラントを支えている
歯槽骨が吸収されてしまい、
インプラントを撤去せざるを得なくなります。
これを避ける為に、
インプラント治療を行う前に、
まず歯周病治療を事前に行い
口内の歯周病菌を
出来る限り減らしておくことが必要なのです。
歯周病管理とインプラント周囲炎の予防
インプラントを
台無しにしてしまわないためにも、
歯科医院で歯周病管理をしっかりしましょう。
主な歯周病管理・治療は以下のとおりです。
① プラーク・歯石を除去する
② 歯と歯茎または粘膜とインプラントの溝を薬液で洗浄する
③ ブラッシング方法・食生活の指導を受ける
④ 歯の汚れがたまりやすい詰め物や被せ物の治療をする
患者様のほとんどは、
インプラント歯周炎など、
インプラント治療に関するトラブルに
不安をお持ちです。
当院では手術中はもちろんのこと、
術後にもトラブルが起きないように、
事前の検査や治療は徹底的に行っております。
インプラント治療についてご不安をお持ちの方は是非当院にご相談下さい。