歯科医院と大学病院で受けるインプラント治療の違い
インプラント手術をお考えの方は、治療先の選択として大きくは個人の開業医か大学病院かのどちらかでお悩みの方も多いかと思います。開業医の場合では普段定期検診などで利用されているかかりつけの歯科医に相談するのが一般的だと思われますが、インプラントの治療も同じ歯科医に任せるのは必ずしも得策ではないかもしれません。基本的に開業医と大学病院では、施術法や費用など大きく異なることはありません。また大学病院だからといって最新鋭の治療が受けられるというわけでもなく、開業医だからと言って料金が割高になるということもありません。しかしこれら二つは受ける方の置かれている状況によって十分に精査して選択する必要があります。
例えば美容目的や予防目的ではなく、事故や全身疾患などで骨がダメージを受けインプラントの手術が必要というような方は、歯科だけではなく内科などトータルでのサポートを期待出来る大学病院を受診される方がいいでしょう。また手術は一回行って終わりというものではもちろん無く、事前検査からアフターケアまでかなり長期的な通院計画が必要な治療です。忙しいサラリーマンの方など時間を作るのが難しい方は、大学病院は予約を入れるだけでも苦労されることが予想されるので、夜での受診も可能な場合が多い開業医での手術を検討する必要があります。このようにあなたのニーズに応じてしっかりと治療先を選択する必要があります。
インプラントの手術をうける際には、開業医で受けるのか大学病院で受けるのかそれぞれどのようなメリット・デメリットはあるのでしょうか? まず利便性ということを考えてみましょう。開業医の場合では一般的に夜間や日曜・祝日など比較的広い時間帯の診察に対応している医院が多いのですが、大学病院は予約が取りにくく時間拘束が厳しいなどという声をよく耳にします。
利便性の面では大学病院よりも開業医の方がより柔軟な受診が可能ですが、設備面ではどうでしょうか? 開業医の場合には手術には不可欠なCTスキャンなどの大型医療機器は備え付けられていないのが普通で、多くの場合検査だけは他の設備の整った病院で受けることになります。その他の設備についても、開業医の場合ではスペースの問題や予算の問題でどうしても大学病院に比べれば設備が貧弱になりがちです。その他にも医師の専門性についても両者の間では大きな違いがあります。一部の大学病院では事故などで歯や顎を失ってしまった方に行うインプラント義歯治療を行うことが出来ます。これは国の基準で一定以上の技能や経験がないと行えない手術なので、基準を満たしている大学病院は一つの安心材料となります。開業医の場合はもちろん虫歯や歯周病などの治療ではプロフェッショナルですが、インプラント手術の経験が豊富であるかはわからないので、主治医の手術実績などをよく確認してから受診されることをおすすめします。
開業医と大学病院ではインプラント手術の際、料金面での違いはあるのでしょうか? またどちらが安心して治療を受けられるのでしょうか? 料金面で言えば、平均的に手術には30万円から40万円ほどの費用がかかります。一部の重篤な状態を除いて、手術には保険が適用されませんので費用は高額になりますが、大学病院と開業医のどちらでも大体同じような治療費になります。しかし、大学病院と開業医のどちらで手術を受けるかは事前にしっかりと検討する必要があります。
インプラント手術は区分的には外科手術といった側面が強く、治療を受ける際には不安になられる方も多いと思います。確かに、開業医で極端なヤブ医者にあたってしまった場合、取り返しのつかない結果になりかねませんが、これはほとんど稀なケースではあるかと思います。しかし大学病院の場合では一人の歯科医が全ての治療を行うわけではなく、若い歯科医にはベテラン歯科医がサポートしてくれるので、とんでもない医者に当たるリスクは低いと言えます。
そして無事手術が一通り終わっても、そこで治療が全て完了したというわけではありません。術後も定期的に検査やメンテナンスのため何度も歯科通院が続くことになります。そうした場合には時間的な都合のつきやすい開業医を選択されたほうが、忙しい方は負担にならないかもしれません。またインプラントは前述の理由でかなり長期間にわたっての医院でのサポートが必要になります。しかし大学病院の場合では開業医と比べ医師の入れ替わりが頻繁なので、同じ先生に長期的に診てもらうことが出来るという点で開業医の方が安心して通院出来ると思います。このように両者にはメリット・デメリットがあるので、よく下調べしてから受診しましょう。