インプラント治療において重要な役割を担う歯科技工士
失った歯の代わりに本物そっくりの人口の歯を用いて口腔機能の回復を目指すインプラント治療では、歯科医師の高い技術力が必要になります。
インプラント治療は人口の歯の土台となる部分をしっかりと固定する必要があるため、歯科治療としてはかなり大掛かりな外科的処置を施すことになります。腕のいい歯科医師なら体にかかる負担を最小限に抑えて長持ちするインプラントを処置してくれますが、技術の低い歯科医師だと出血量が増えて無駄に体に負担をかけてしまう上にせっかく埋め込んだ歯の寿命も短くなってしまいます。
治療の出来栄えを左右する歯科医師の重要性は広く認知されるようになっていますが、意外と知られていないのが歯科技工士の役割です。
失った歯の代わりとなる人工歯の出来栄えは非常に重要であり、治療後何十年にもわたって自分の歯として使用する人工歯が理想的な形に仕上がっていなければ、わずかなずれであっても常に口内に違和感を感じてしまうことになり、不快感を抱えたまま生活することを強い
られてしまいかねません。
人工歯の出来が悪ければ汚れがたまりやすくなって隣の健康的な歯にダメージを与える原因となってしまう可能性もありますから、人工歯を作成する歯科技工士の役割は治療の水準を左右する非常に重要なものとなっています。
インプラントの治療で歯科医師が担当するのは実際の施術のみであり、失った歯の代わりに用いる人工歯の作成に関しては歯科技工士の役割になります。
自動車でたとえるなら歯科医師の役割はパーツを取り付ける整備士に当たり、歯科技工士の役割はエンジンやマフラーなどの部品そのものを製造する仕事に当たります。整備士の腕が悪ければ仕上がりが悪くなるのは当然ですが、たとえ腕の良い整備士であったとしてもパーツ自体に問題があれば正しく取り付けたとしても満足のいく仕上がりは期待できません。
パーツを製造する役割に当たる歯科技工士の腕が悪ければ、歯科医師が完璧な施術をしたとしても満足のいくインプラント治療にはならないということです。
インプラント治療で人工歯以上に重要なのが、アバットメントです。アバットメントとは人工歯を固定するため台座となる部分のことで、既製品を用いることもありますが患者個人によりフィットしたものを使用するために歯科技工士が作成することもあります。
アバットメントは人工歯を土台にしっかり固定する重要な役割を担いますから、加工精度が低ければ十分な固定ができない可能性があります。長く人工歯を正常な状態に固定し続けるためには精度と強度が十分なアバットメントを用いる必要があり、作成を担当する歯科技工士の責任はとても大きなものとなります。
インプラント治療は非常に高い精度が要求されます。歯科技工士が作成する人工歯に関しては形や大きさの精度が求められるのは当然ですが、機能面だけではなく美容的観点から見た目も重要なポイントになります。
大きさや形がフィットする人工歯でも、極端に白かったりすると他の歯と比べたときに違和感が出てしまいます。患者一人一人の歯の色に合わせて人工歯を作成し、見た目で違和感がない色合いの歯を作ることも歯科技工士の重要な仕事の一つです。
インプラント治療で作成する人工歯に関しては、医師が診断し型取りをしたうえで色や形を指定して歯科技工士にオーダーするのが一般的です。しかし、この方法だと人工歯を作成する歯科技工士は患者の口腔内の様子や他の歯を見ずに人工歯を作成することになります。これではオーダー通りに人工歯を作成することは出来ても、患者個人に合わせた人工歯を作成することは困難です。
そんな問題を解消するために、最近では歯科医院内に歯科技工士が常駐して治療に関わってくれる歯科医院が増えています。歯科技工士が実際の患者の口腔内をチェックすることでより精度の高い人工歯を作成することができますし、違和感があった場合も迅速に微調整できますから治療期間の短縮にもつながります。